前回の記事について何件かお問い合わせをいただきました。

早速にありがとうございます。

同等のご質問もあるかと思いますので、回答をシェアしておきます。

ひとつは、「花纏・白縞」についてです。

今年出せそうな苗はちょい柄です。

まだちっさい苗だった時点で綺麗な白縞を見つけた時には思わず飛び上がりました。
しかしながら柄は徐々に消えてしまい、現状上から出てくる葉には柄がありません。

子供が出た時にも柄で出まして、「上柄を~」と祈りましたが、
無念・・・これもまたすぐに柄が抜けてしまいました。

上手くは行かないものです・・・。

本日、参考までに写真を撮ってきました。

【全体像】

この品種、いままでで一番大きくなりました。

P3050001

【柄部分】

P3050002
P3050003

【子の柄】

P3050004

とまあこんな感じです。

一応は店頭販売商品ですが、どちらかというと花が来るまで作り込んでみたい気の方が大きいです。

価格は10万円としてあります。

以前にも書きましたが、現状はメリクロン研究を休止しています。

私には柄や覆輪が出来ないと判断したからですが、
一番の理由は手間が掛かりすぎるということと老眼の進行です。

メリクロンについては洋ラン業者さんにお知恵を拝借しました。

洋ランは成長点も大きいので比較的作業が簡単なのですが、
風蘭の成長点は見えません・・・。

クリーンベンチの中に実体顕微鏡を備え付け、自らも頭をベンチの中に突っ込んでの作業!
何回も雑菌を呼び込んで失敗、失敗の連続でした。

何百回やったでしょうか?

やっとコツがつかめた頃に貴重な苗を犠牲にして成長点採取を行いました。

覆輪、柄物、金牡丹・・・。

無事に苗になっても柄が出ないものばかりでした。

苗の成長も実生苗とは比べ物にならないほどに遅く、何倍も移植作業を経なければなりません。

そんな中で偶然に出来たのがこの「花纏の白縞」です。
なかなか私的に思い入れのある1本である訳です。

洋ランの現場で一番のネックが「メリクロンであっても同じ花が出ないことが多々あること」と聞きました。

一般的にはメリクロンといえば「全く同じものが大量に出来る」という印象が強いですが、
実際はそうでは無いと教えてもらいました。

自然の事ですから、考えれば当たり前なのかもしれません。

それがなんでそうなるのかという原因は様々なようでしたが、
一つは成長ホルモン剤の影響ではないかと聞きました。

私はそれを聞いていたので、ホルモン剤の類は使用せずに、
同等の効力を得られるという、「ヤングココナッツ」を使用してきました。

輸入されたヤングココナッツを取り寄せて、かち割って中身を出すのですが、
これが固いのなんのって・・・。

南国ではムキムキのお兄さんがでっかいナタみたいなもので、
ガッツガッツと割っています。

観光客はそれにストロー突き刺して、中身だけ飲むのですが、
これがあんまり美味しくない・・・。

例えるなら、ぬるいポカリスエットみたいな感じ・・・。

それが、何故か成長ホルモン剤と同等の効果があるというのです。

ただ、これもまた細かく言えば殺虫剤の影響を受けていないとも限りませんので、
そんなところから何かしらの影響を受けても不思議ではありません。

親と全く同じ個体が出来るのであれば、白縞が出るのもおかしな話です。

ですので、一番の心配は花でしょうか。

書いたようにメリクロン苗は成長が遅いので、5年や6年では花は咲かないと思います。
のんびり気長に構えられる方には「もしかしたら上柄の子がでるかもしれない・・・」
という点では何年でも楽しめる1本なのかもしれません。

それと、話は変わりますが、

花物交配の品種をいくつか書きました。

それぞれF2まで持ってきているので、10年近くは掛かった品種です。
中にはそれ以上掛かっているものもあります。

ただ、花物の交配ほど計算ができない実生はありませんで、

年数掛けてF2まで持ってきたとしてもほぼほぼ「思惑通りの花は得られません」!!!

豆葉の縞を作り出す方がよっぽど簡単です。

それでも私がやってきたのは、少しは「夢」を見たいからです。

苗を移植しながらぼんやりと想像してみるのです。

「黄花の三蝶咲か~いいな~」
「緑花の三蝶咲か~ステキだな~」とかいうふうにです。

まあそんなことは、宝くじに当選するより確率は低いと思います。

でもこーいったお仕事をやっている以上は夢を見てみたいのです。
同じように趣味で楽しんでいる方にもそれをお分けしてみたいのであります。

バカなことをやってるな~と思われるかもしれませんが、
お仕事はそろばんはじくだけでは楽しくありませんので・・・。

今日は書きはじめたら長くなってしまいました。
スミマセン。

また何かお気づきの点がありましたら、いつでもご一報ください。